最近お気に入りの作家、奥田英朗氏の6話からなる短編集。
★サニーディ
ネットオークションに不要品を出品したとき、思わぬ高値がついたことによって、すっかりハマッてしまう42歳主婦。
そのうち家の中にあるあまり使わないものをオークションに出して、お小遣いを稼ぎ、そのお金でエステなどに行き、女に磨きをかける。
そのうち夫が昔使っていたギターを夫に内緒で出品したら、ビンテージ物だったらしく、想像以上の高値がついてしまい、恐ろしくなってしまう・・
★ここが青山
会社が倒産して無職になった夫の代わりに妻がOLに復帰した為、主夫になる36歳の元サラリーマン。
彼は、意外にも家事に向いていたことに気づく。
しばらくして、元上司がいい仕事があるのでやってみないかと言ってきたが、息子が嫌いな食べ物を
いかに料理して食べさせるかという創意工夫などが楽しくてたまらなくなり、家庭を青山(せいざん)でもいいと思うようになる。
『人間(じんかん)いたるところに青山(せいざん)あり』という諺をここで初めて知った。
★家においでよ
妻に家出をされてしまった38歳の営業マン。
妻が自分で選んだ家財道具を全て持っていってしまったので、自分好みの家具や電化製品を週末ごとに
揃えて、自分の城を作りはじめる。
快適な独身生活の部屋づくりが完成すると、男友達のたまり場になり、そのうちの1人の妻が、いつも帰宅の遅い夫に疑念を抱かせてしまうほど、彼等は頻繁に訪れるようになる。
2ヵ月後、別居中の妻を招くことになって、独身時代をふと思い出す。
★グレープフルーツモンスター
パソコンでDMの宛名を入力する内職をしている39歳の専業主婦。
ある日、内職の地域担当者になったという無神経な29歳の男がやってきた。
仕事の内容を説明するその男から、ほんのり香る柑橘系のフレグランス。
その日の晩、グレープフルーツの形をしたモンスターに犯される夢を見る。
とてもエロティックで、今まで感じたことのないエクスタシーを感じてしまい、タイプでもない男だが、
その夢が見たいために、彼の来訪を心待ちするようになる。
★夫とカーテン
職を転々とする夫が突然カーテン屋を始めるという。
全て自分で段取りを決めてしまってから妻に事後報告をする夫。
妻もイラストレーターとして仕事をしているのだが、夫が転職したときに傑作が生まれることに
気づく。
夫の度重なる転職に不安だった頃もあったが、その傑作が生まれるのなら、それもいいものだと
思うようになる。
★妻と玄米御飯
ロハスにはまった妻のせいで、毎月の食事が玄米御飯になる。
42歳の夫は、名のある文学賞をとったベストセラー作家。
締め切りがせまったある日、ロハス生活の妻やその友人たちのことをモデルにした
少々滑稽な小説を書き、編集者から大傑作だと賞賛される。
ところが、身近な人が読んだら登場人物が誰なのか一目瞭然だ。
家庭崩壊にもなりかねないので、出品することをついに断念してしまう
・・・・・・・・・・・・・・
日常にありそうで、ないような、でも起こりそうな・・そんな奥田氏の作品はドラマを見てるような感覚で
サクサク読めるのがほんとに魅力的だと思う。
約半年かかって図書館で借りれた作品。
きっと多くのファンがいるんだね~
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